教示に伴う課題セットの形成の発達

Verbruggen, F., McLaren, R., Pereg, M., & Meiran, N. (2018). Structure and implementation of novel task rules: A cross-sectional developmental study. Psychological science, 29(7), 1113-1125.


言語的に教示を受けると、課題セットが形成される

Meiran, Pereg, Kessler, Cole, & Braver (2015a) では, " ‘© = left, £ = right’ " という教示を受けると、そうしたルールを適用する必要のある前の段階でも "自動的に" そうしたルールを適用してしまうことが示された (課題セットの形成)

発達的にも、より構造が複雑な階層的ルールを形成できるようになることが知られている (Bunge & Zelazo, 2006; Unger, Ackerman, Chatham, Amso, & Badre, 2016)。そして、こうしたルールを知っていることと使用することに乖離があることが幼児では確認されている (Zelazo, Frye, & Rapus, 1996)  

そこで、この研究ではルールを教示された直後にどのような課題セットを形成しているのかを検討することを目的とした。

課題は、教示 → Nextフェイズ (1 or 2 or 3試行)→ Goファイズ (2試行)→ フィードバックという構成になっている。

カバーストーリーつきになっていて、Nextファイズはお昼、Goフェイズは夜で、刺激として動物が2匹提示される。お昼は2匹とも学校に行くので、左。夜はそれぞれの家に帰れるように右か左かを覚えておく。課題の仕掛けとしては、夜で覚えておくルールが昼に干渉するかという点である。

結果, 4-5歳でも教示に伴い課題セットを素早く形成している可能性が示唆された。つまり、Nextフェイズでも、Goフェイズのルールからの干渉を大きく受けているという知見からこうした可能性に言及している。こうした干渉は年齢とともに減少してゆくことが示されている。さらに、4-5歳では試行数を重ねてゆくと干渉が減少してゆくことも示されている。この研究では、NextファイズとGoフェイズ間で使い分けるられるように、もう1つ上位のコントロール層を形成するかどうかを検討している。


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大阪教育大学で教員をしている柳岡開地 (Kaichi YANAOKA) のウェブページです。 子どもの認知発達に関心があり,実験や観察を通じて研究を行っています。 ※このウェブページは個人的な場所であり,所属とは関係ありません。 ※リンクいただける方はご一報ください。

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