発達心理学研究の特集号

あっという間に年末ですね。1年はものすごく早いです…ひとまず今年も多くの人にお世話になりました。ありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。ということで今年最後のお知らせです

広島大学の湯澤正通先生、京都大学の森口佑介先生、立命館大学の土田宣明先生が編集責任者をつとめる発達心理学研究の特集:「ワーキングメモリと実行機能の発達」にレビュー論文が掲載されました。幼児期の実行機能がルーティン の獲得に及ぼす影響について検討した内容です。通常の実行機能のレビューという感じではないので、その点ご了承いただけたらと思います (そういったレビューは山ほどあると思いますので)。他にも面白い論文がたくさんあるので、興味があれば是非どうぞ 

発達心理学研究第30巻(2019年)

30巻1号◆武田 俊信・小正 浩徳・郷式  徹:講義内での大学生へのオーガナイゼーション・スキル向上プログラムの効果研究 オーガナイゼーションは物(整理整頓)と時間(時間管理)という2つの要素に大別される。大学時代は大いなる可能性を秘めた時期である一方,高校時代からの様々な変化により脆弱性をかかえた時期でもある。特にADHD傾向をもつ大学生にとってはオーガナイゼーションの困難さが躓きの石となる可能性が高い。本研究では日本の現状に鑑みて,講義内で施行可能な10から15分間,8回シリーズからなるオーガナイゼーション・スキル向上プログラムを作成し導入教育科目において新入生に対して実施し,クロスオーバー・デザインで効果を検証した。参加した大学生77名(男性26名)中,前期および後期介入クラスはそれぞれ33,44名で,うちADHD傾向高群は19名であった。結果,自己記入式オーガナイゼーション尺度の総得点および3つの下位尺度のうち整理整頓困難および時間管理困難で全般に一部留保つきではあるが有意な改善がみられた。またADHD傾向を有していると短時間のプログラムへの反応性が乏しいという仮説は否定された。有意な改善がみられなかった領域があり,またプログラムの効果の質的な分析ができていない,成績やウェルビーイングへの影響が不詳である,など今後の課題は山積しているが,今後も本邦の現状に合わせて大学生のオーガナイゼーション・スキルを支援するプログラムの開発・改良が模索されるべきである。【キーワード】整理整頓,時間管理,ADHD,介入研究,大学生30巻の目次に戻る◆佐々木美恵:地震・放射線災害下保育における幼稚園教諭の精神的健康:レジリエンス要因として保育者効力感に着目した検討 東日本大震災および福島第一原子力発電所事故は,幼い子どもを預かり,育ちを支える保育現場に多大なる影響を及ぼした。本研究の目的は,地震災害,放射線災害下の保育実践上の負荷に対するレジリエンス要因として保育者効力感に着目し,精神的健康との関連について明らかにすることである。調査は,発災後1年の時点において,福島県A市下の私立幼稚園全20園の幼稚園教諭を対象として自記式質問紙調査を実施し,76名から回答を得た。その内,回答不備があった者を除く73名を分析対象者とした。調査内容には,保育者効力感,地震・放射線災害保育負

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原著(依頼) 

土田 宣明・坂田 陽子:実行機能の形成と衰退:抑制に注目して 

湯澤 正通:ワーキングメモリの発達と児童生徒の学習:読み書き・算数障害への支援 

森口 佑介:実行機能の発達の脳内機構 

柳岡 開地:乳幼児期における実行機能とルーティンの獲得の相補性―抑制と切り替えに着目して

池田 吉史:児童期における抑制の定型発達と非定型発達 

佐伯恵里奈:青年期・成人期の認知的柔軟性を支える実行機能 

蔵冨  恵:刺激反応適合性パラダイムにおける加齢効果:成人期から高齢期 

湯澤 正通・蔵永  瞳・齊藤  智・水口 啓吾・渡辺 大介・森田 愛子: 児童・生徒用集団式ワーキングメモリアセスメントテストの作成 

湯澤 美紀・湯澤 正通・蔵永  瞳: 児童生徒におけるワーキングメモリと学習困難:ウェブにおけるアセスメントの試み 

小澤 郁美・湯澤 正通・福屋いずみ・小田 真実・福丸奈津子・梶木 育子・小池  薫:小学校入学時のワーキングメモリが予測する児童の読み書き困難


Yanaoka's research page

大阪教育大学で教員をしている柳岡開地 (Kaichi YANAOKA) のウェブページです。 子どもの認知発達に関心があり,実験や観察を通じて研究を行っています。 ※このウェブページは個人的な場所であり,所属とは関係ありません。 ※リンクいただける方はご一報ください。

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